おいしかったなぁ
角砂利敷きたてのザクザクの道ではなく、土が露出した轍が二本延びて、ほどよい歩き心地。
真うしろにはニセコアンヌプリ、真ん前には尻別岳の南に横たわる貫気別岳を望みながら、雑木林をぬけてははろやかな畑をつらぬき、つらぬいてはまた林をぬけてゆく。
マリーゴールド、シトロンイエロー、楯子色、浅緑、萌黄、コバルトグリーンのない混じる林の彩りと、黒土と枯れ草と積み草とがつくる畑の幾何学パターンとが、相変わらず眼を細めさせたり、折りおり足を止めさせたりする。
地図の上ではただただ一直線だが、ここは平野ではなくて火山灰台地。
台地の上から、それを唐草模様のように複雑に刻む谷へ降りてはまた台地へ登ってゆく、絶え間のない起伏が、なかなか娯しかった。
ここを走っていた殖民軌道の列車は、客車も貨車もガソリンカーだったらしい。
さぞガタピシの車両だったのであろう。
そんなことを思いながら、本来の北海道 旅行のおいしい夕食を想像して歩いていた。
この日の夕食は空腹という最高のスパイスの効いた極上のもので、あんなにおいしい刺身は今後食べられないだろうと思い知った。
あの料理のためだけに、もういちど北海道に旅行したくなるほどだ。